2018年に読んだ小説(5-8月)
参考までに、☆3が平均、☆4以上が個人的お勧め。
15.宮澤伊織『裏世界ピクニック』 ☆3
(ハヤカワ文庫、2017)
初めて読む、ラノベデビューの作家。お、秋田県の出身だ。
二人の女の子が異世界(いわゆるファンタジー世界ではない)で出会い、怪物たちや他の人間と遭遇しながら冒険する。4編を収録。
ネットで見聞きする怪談をアレンジして異世界の怪物や現象としているが、ホラー要素はそんなに感じなかった。
それより、空魚と鳥子の二人の難あり少女のもどかしい交流を、温かく見守っていたい。
16.長谷敏司『Beatless 上』 ☆3
(角川文庫、2012)
主人公のアラトがバカすぎて、明らかに事件の渦中にあるレイシアを疑うことなく受け入れたり、そのレイシアをモデルとして目立つ行動を許したり、何やってんの?
という行動を理解できず共感できなかったので、読むのに苦労したが、アナログ・ハックの概念が身に染みてくると、アラトの行動はレイシアによる巧妙なアナログ・ハックであった疑いが出てきて、ミステリ的におもしろくなってきた。
アラトとレイシアの物語は、hIEをロボットに置き換えれば、ロボットアニメの主人公がロボットに乗る動機と敵と戦う理由として読むこともできる。これは掲載誌のNew Typeっぽい。
下巻では、アラトに対して紫織ちゃんが巻き返す姿を期待したい。レイシアは怖いよ。
17.石川宗生『半分世界』 ☆3
(東京創元社、2018)
奇想から出発した異常な物語を平熱の語り口でつづった短編集。シミュレーションではあるが、いわゆるわかりやすい意味でのSFとは違う。海外文学の味わいに近い。最近の海外文学読んでないけど。
4編中、あるスポーツに熱狂するひとつの町の歴史を描いた「白黒ダービー小史」がお気に入り。